アメリから学ぼう色使いの面白さ

アラサー女子に絶大な人気を誇るフランス映画『アメリ』

とにかくカワイイ!ざっくり言うと「ちょっと不器用な女の子が他人をハッピーにさせるイタズラにハマり、どんんどん周囲がほっこり幸せになっていく。でも自分の幸せには積極的になれない。好きな人に「好き」って伝えられない。さあて、そんなアメリの幸せは結局どうなるの?」というお話。

もうたまらんですね。恋人と見るべき映画ベスト3に入ります(←いま勝手に決めた)安い恋愛物のようにゲロ甘でなく、死ぬ死ぬ詐欺もなく、程よくシュールで、ブラックな笑いもある。そして何よりファンタジーとして作られているからこそ、ほっこり感が大きい。

 

「ファンタジーとして作られてる?」
そうなの?と思った方、あなた実際にパリに行ったことないですね?はい、私もありません。ファンタジーって幻想とか空想という意味ですが、『アメリ』には実際のパリにあるものがありません。

例えば移民、2011年のフランス映画『最強のふたり』でセザール主演男優賞を受賞したオマール・シーは黒人で、両親が西アフリカからの移民です。フランスの移民は20パーセント程で、うち半数がアフリカ系です。だからアメリに黒人が映ってないのは、ちょっと不自然と言われています。

オマールシー出展:wikipedia

 

そして落書き、パリの落書き問題は深刻なようです。具体的な被害件数は見つけられませんでしたが、【paris graffiti problem】で検索すると、結構な被害画像が出てきます。 実際、監督は撮影のために落書きを消したり、CGで見えないようにしたようです。

つまり『アメリ』は監督が「理想とするフランス像」として描かれているんですね。だから綺麗で、ファンタジック。 アメリカ映画に出てくる日本像が微妙に可笑しいのと似ているかもしれません。

 

あまり知りたくない事実からお伝えしてしまいました。実際のパリが『アメリ』みたいじゃないなんて、僕もショックです。

さてファンタジックと言えば、色彩を限定したファッションに注目です。

『アメリ』は徹底した色彩演出をしていて、テーマカラーは赤、緑、黄色です。これは監督が初めて見たパリをイメージした色だそうで、もう徹底的に、これでもかとテーマカラーを推してきます。 ちなみにフランスのナショナルカラー青白赤のトリコロール。パリは青と赤です。そしてフランスをイメージする色は赤系が多いです。例えばルージュが有名ですね。フランス語がカタカナとして普及しています。他にもマリー・アントワネットやローズ・ポンパドゥールなどなど赤系の色です。

緑がない。

そう考えてみると緑とフランスの関連が薄いように思います。でも『アメリ』といえば緑を思い出すほどに、映像に頻出していました。これは僕の個人的な考察ですが、緑は赤の引き立て役なのだと思います。いわゆる補色の関係です。赤と緑はお互いを引き立てるので、色々な場面で登場します。例えばクリスマスカラー。サンタの赤に対して緑がよく使われます。日本が誇るゲームシリーズ『スーパーマリオ』のマリオが赤い服に対して、相棒のルイージは緑です。さらにセブンイレブンのロゴも赤と緑ですね。

映画のテーマは『幸せになる』

幸せと言えば黄色のイメージですね。『幸福の黄色いハンカチ』なんて映画もありました。実際、世界的に幸せの色は黄色が多いみたいですよ。その歴史は戦争に関係しているみたいですが、その話はまた今度。

さて肝心の赤といえば、情熱、パッションのイメージでしょうか。ポジティブな感情表現は赤系の色で表現されるように思います。そしてポジティブな感情と幸せは、近い位置にありますよね。

おそらくテーマ的にも、フランスという国的にも、色としての主役は赤。その引き立て役として緑があり、包み込む雰囲気、全体的な空気感として黄色がある。(個人的見解)

 

また!またしても、前置きが長くなってしまいました。

それでは色使いという視点で、映画を見てみましょう。まずは緑から

つまらない勉強シーン

復讐のアメリ(幼少)

悪役の部屋

お化け屋敷

ダークな雰囲気や、マイナスの感情は緑が多いように感じます。 特に悪役的な立ち位置にいる八百屋のコリニョンは部屋も服も緑が多い。

次に赤色

他人を幸せにするイタズラを終えたアメリ

恋の予感にワクワクするニノ

赤色はアメリの部屋や、心が躍ってるシーンに多いです。ちなみに映画に青色が登場するのはアダルトショップだけ。アメリにとって異質な場所である表現でしょうか。意外にも抵抗なく入店するシーンが微笑ましい。

最後に黄色

映画は全体的に黄色みがかっているのですが、特に黄色は誰かが幸せになっているシーンに多いです。特に最初のイタズラが成功してルンルン気分のアメリが、帰り道に盲目の老人を道案内するシーンが印象的です。 昼間の町並みと黄色い空気感が調和していて、幸せオーラ全開!

また全体的な色から、服の色にも注目です。

水切りをするアメリの服(赤)

微妙な心境のアメリの服(緑)

ウキウキしたアメリの服と背景(赤)

主要人物の服は、赤だったり緑だったりシーンによって変わります。その意図は分かりやすかったり、微妙だったり。しかし、ここは深読みすることをおすすめします。結構、楽しいですから。

 

他のファッションにも注目しましょう。レトロファッション観察記として、アメリパパの服装は無視できません。アメリのお父さんは冷徹なお医者さんとして登場しますが、だんだんとアメリのイタズラによって心がほどけていきます。

まず結婚指輪はシンプルですね。以前観察記で紹介したシングルマンに登場する結婚指輪とほぼ同形状。

後はどんどん見ていきましょう。アメリパパのファッション観察

カワイイ!可愛いぞアメリのパパ!

基本的にノータイで、茶色系アースカラーをベースにしたものが多いです。ジャンルでいうならワークウェア系でしょうか。このまま真似してしまうと、地味過ぎるかも知れませんが茶色には青色がよく合います。イタリアの定番配色にアズーロ・エ・マローネ【azzurro e marrone】という物があるんですが、(日本のスーツシーンだけ?)それは、青と茶色の組み合わせです。 だから真似するなら、シャツだけデニム生地にするとか、下はジーンズにするとか、青系のワークウェアを入れるとグッと地味さから解放されると思います。 茶色の補色に青が近く、お互いを引き立てる関係です。

↓参考にこんな感じ↓

出展:pintarest

 

さて、いかがだったでしょうか。

『アメリから学ぼう。色使いの面白さ』と題しまして、お届けしました。ポイントはなんといっても補色の関係です。普段のファッションが今ひとつ決まらないというとき、全体の色に補色を足してみましょう。タイの色、チーフの色、シャツの色、あるいは靴下でもいいですね。 色相関を参考にして、反対側の色を意識しましょう。

出展:wikipedia

また、まだアメリを見たことのない人!

こんな名作を見ていないなんて、もったいない。色の関係とかどうでもいいです。ほっこりするんです!恋人がいてもいなくても見てください。フランスでは「ジャン・ピエール・ジュネ監督、唯一の名作」という人もいるみたいですよ。

 

 

 

 

 

・・・最後にどうでもいいことを言わせてください。

アメリのこの顔・・・数年前に流行った「カッパ口」ってやつじゃないですか。能年玲奈(のん)より、10年以上前にやってますよ。カッパ口の先駆け的存在ですね!